新規就農で一番不安なのは「お金」
新規就農を考えたとき、多くの方がまず気になるのは「初期費用はいくらかかるのか」という点ではないでしょうか。
農業は設備や土地が必要なイメージがあり、「数百万円、あるいはそれ以上の資金が必要なのでは」と不安に感じる方も少なくありません。
私自身も、ぶどう農家として独立を考えたとき、最も大きなハードルは資金面でした。
実際にかかった独立までの初期費用は、約150万円です。
もちろん、条件や規模によって金額は大きく変わります。しかし、工夫次第で費用を抑えながら新規就農をスタートすることは可能だと感じています。
この記事では、私がぶどう農家として独立するまでにかかった初期費用の内訳を、できるだけ具体的にお伝えします。
今回の前提条件
今回ご紹介する「約150万円」という金額は、すべての新規就農に当てはまるものではありません。
私の場合は、いくつかの条件が重なったことで、比較的費用を抑えてスタートすることができました。
まず、研修期間は3年間あり、その間は研修先からお金をいただきながら技術を学ばせていただきました。
研修制度は地域や受け入れ先によって異なり、収入がある場合もあれば、無償の場合もあります。
また、独立時には棚がすでに整備されている環境からスタートできました。
棚の設置から始める場合は、ここでさらに大きな費用がかかる可能性があります。
農機具についても、新品ではなく中古を中心に揃えました。
初期投資を抑えるために、必要最低限の機械からスタートしています。
このような前提条件があったうえでの約150万円という金額になります。
独立準備にかかった費用の内訳(約112万円)
ここからは、ぶどう農家として独立するために実際にかかった費用の内訳をご紹介します。
私の場合、苗木の購入や農機具、軽トラックなどを含めて、独立準備にかかった費用は約112万円でした。
苗木代(約12万円)
まず必要だったのが、ぶどうの苗木です。
苗木は1本あたり約4,000円で、合計40本購入しました。
計算すると、
4,000円 × 40本 = 約12万円
ぶどうは苗木を植えてから収穫まで数年かかるため、最初の投資として重要な部分になります。
農機具(約60万円)
農作業に必要な機械も揃える必要がありました。
ただし、初期費用を抑えるために新品ではなく中古を中心に購入しています。
購入した主な農機具は次の通りです。
- 運搬車 約15万円
- スピードスプレーヤー 約20万円
- トラクター 約15万円
- 乗用草刈機 約10万円
合計すると、農機具だけで約60万円ほどかかりました。
軽トラック(約40万円)
農業をするうえで、軽トラックはほぼ必須の存在です。
資材の運搬や収穫物の移動など、日々の作業で欠かせないため、中古の軽トラックを約40万円で購入しました。
ここまでで、
苗木 約12万円
農機具 約60万円
軽トラック 約40万円
合計すると、独立準備だけで約112万円になります。
初年度にかかった追加費用(約20〜30万円)
独立準備にかかった費用が約112万円でしたが、農業はそれで終わりではありません。
実際に栽培を始めると、肥料や農薬、細かい資材など、さまざまな出費が出てきます。
私の場合、初年度に追加でかかった費用は、合計で約20〜30万円ほどでした。
肥料・農薬(約15〜20万円)
ぶどう栽培では、肥料や農薬などの資材が必要になります。
作物を健康に育てるためには欠かせない費用で、私の場合は年間で約15〜20万円ほどかかりました。
栽培面積や管理方法によって金額は変わりますが、毎年必要になるランニングコストのひとつです。
細かい資材
農業を始めてみて感じたのは、細かい資材の出費が意外と多いということでした。
例えば、
- 支柱や結束バンド
- 誘引に使う資材
- 作業用の消耗品
- 果実袋や出荷用の袋
ぶどう栽培では、果実を守るための袋や、出荷に使う袋なども必要になります。
特に収穫期が近づくと、こうした資材の出費が増えてきます。
こうしたものは一つ一つの金額は小さくても、積み重なるとそれなりの金額になります。
こうした細かい資材を含めると、初年度の追加費用は約20〜30万円程度になりました。
150万円でスタートできた理由
今回ご紹介したように、私の場合は約150万円でぶどう農家として独立することができました。
もちろん、すべてのケースでこの金額で始められるわけではありませんが、いくつかの条件が重なったことで初期費用を抑えることができました。
ここでは、費用を抑えながらスタートできた主な理由を紹介します。
棚がすでに整備されていた
今回のケースで大きかったのは、ぶどう棚がすでに整備されていたことです。
ぶどう栽培では棚の設置に大きな費用がかかる場合があります。
そのため、棚の設置から始める場合は、今回紹介した金額よりも初期費用が高くなる可能性があります。
私の場合は棚がある環境からスタートできたため、その分の費用を抑えることができました。
農機具を中古で揃えた
農機具も初期費用が大きくなりやすいポイントです。
すべて新品で揃えるとかなりの金額になりますが、今回は中古の機械を中心に購入しました。
中古でも十分に使える機械は多く、初期費用を抑えるうえで大きなポイントになったと感じています。
研修期間で技術を学べた
3年間の研修期間があったことも、独立のハードルを下げる大きな要因でした。
研修中に栽培技術や作業の流れを学ぶことができたため、独立後に大きな設備投資をする必要が少なく、必要な機械や資材を見極めて購入することができました。
最初から規模を広げすぎなかった
もうひとつ大きかったのは、最初から規模を広げすぎなかったことです。
いきなり大きな面積で始めると、その分設備や資材の費用も大きくなります。
まずは無理のない規模からスタートすることで、初期費用を抑えることができました。
これから新規就農を目指す方へ
新規就農と聞くと、「多額の資金が必要なのでは」と不安に感じる方も多いと思います。
実際には、地域や栽培する作物、環境によって必要な資金は大きく変わります。
今回ご紹介した約150万円という金額も、棚が整備されていたことや、中古の農機具を活用したことなど、いくつかの条件が重なった結果です。
そのため、すべてのケースで同じ金額で始められるわけではありません。
ただ、工夫次第で初期費用を抑えながら新規就農をスタートすることは十分可能だと感じています。
私自身も、研修を通して技術を学び、無理のない規模からスタートすることで、少しずつ農家としての経験を積んできました。
もし新規就農に興味がある方がいれば、まずは研修先を探したり、実際の農家の話を聞いてみたりするところから始めてみるのも良いと思います。
農業は簡単な仕事ではありませんが、その分やりがいのある仕事でもあります。
この記事が、新規就農を考えている方の参考になれば嬉しいです。
新規就農の流れについては、こちらの記事でも詳しく書いています。


